オンドゥーラス好きが展開する気ままな話題


by HONDURAS1
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jueves,19 de febrero,Hace bastante furio.pero,!sol bien!
今月は予想外に読書進む。その筆頭は佐々木譲の北海道警察物。一気に5冊ほど読了。
 とりわけ発売したばかり・・・なんと奥付の発売日は2月20日・・・の最新刊「豪雪圏」は圧巻。久々明け方の3時過ぎまで閉じることが出来ず、正味5時間ほどで読了。
 
 十勝地方の風景描写と地域特有の人間模様、加えて不祥事露見以来北海道警が行った・・・羮に懲りて膾を吹く人事の結果としての・・・構造的な捜査力の低下等々が伏線の意味も込めて展開された後、小説の後半を過ぎての舞台は豪雪に閉じこめられたペンション。強盗犯、出会い系サイトで知り合った男女、ガンの不安を抱え職場の金を持ち逃げしようとしている定年間近の男、義父にレイプされ家出した女子高生と彼女に好意を持ち励ます青年、初老の観光旅行の夫婦と、豪雪が止み強盗犯がペンションを出て行くまでの十数時間という限られた時間と場所で繰り広げられる、8人の登場人物の凝縮されたドラマはグランド・ホテル形式の典型である。

 一部、あの登場人物はどうなったろう?生かされていない伏線、最終事件解決場面での説明不足等、小さな瑕疵はあるものの、かのアガサ・クリスティ作品に十分比肩しうる、一級のエンターテーメントミステリーといえる。

しかし、このドラマの主人公はなんと言っても豪雪。
 毎年、彼岸前後から4月上旬頃の低気圧がもたらす春の豪雪は凄まじく、特に数年に一度、襲ってくるウルトラ級のそれは、湿気を含み重量を増した雪片が台風並みの風に運ばれ山野を人を痛めつけ、爆弾低気圧と言って厳冬期の降雪以上に住民におそれられている。
 半世紀前、7人の小学生が集団下校途中吹雪に閉じこめられ、凍死した悲劇は未だ住民に語り継がれ、春の地吹雪の恐ろしさを折に触れ想起させている。
まさに、(真白き富士の峰〜#、緑の江ノ島〜#)と歌われている、逗子開成中学のボート遭難事件の北海道版である。合掌!

午後から降り出した豪雪は、
 日暮れを待たずしてクルマでの移動を不可能にし、やがて暗闇と共に除雪車の活動をも閉じこめ、暖房を、灯りを、通信手段を奪い、まるで、脆弱な文明の無力さをあざ笑うかのように、次々にその威力を見せつける。そんな中、捜査権を持たない一駐在警官が孤軍奮闘!・・・と言ったシチエーションでこれほどのサスペンスを盛り上げる筆力は抜群!大都会の雑踏とカオスだけがエンターテイメントの全てではないことの証左である。

佐々木作品の合間に切れ切れにユリウス・カエサルの「ガリア戦記」内乱記」読み進む。イザベラバードの「日本紀行」「朝鮮紀行」期待ほどではなし。今年は年初から(昨秋から!?)本の買いすぎ!今日以降、しばらく自粛。

1月に買った本
文芸春秋 2月号
深追い 横山英夫 実業之日本社
内乱記 カエサル 講談社学術文庫
英国人写真家の見た明治日本 H・G・ポンディング 講談社学術文庫
幕末遣外使節物語 尾佐竹猛 講談社学術文庫
京都守護職日誌 全5巻 新人物往来社
ローマ亡き後の地中海世界 上 塩野七生 新潮社 

2月に買った本
文芸春秋 3月号
警官の紋章 佐々木譲 角川春樹事務所
笑う警官 佐々木譲 ハルキ文庫
検察庁から来た男 佐々木譲 ハルキ文庫
制服捜査 佐々木譲 新潮文庫
暴雪圏 佐々木譲 新潮社
アラブの歴史 上下 フィリップ・K・フッティ 講談社学術文庫
こころのとも 今井絵里子
ストックフォルムの密使 佐々木嬢 新潮社
くろふね 佐々木嬢 新潮社 

明日多摩アスタマニァ~ナ!
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by honduras1 | 2009-02-19 11:08 | 読書

「文明の衝突」

domingo,01 de febrero.Hace buen tiempo.
年末、氏の訃報に触発されて、
 サミュエル・ハンチントンの「文明の衝突」を読み終えた。いわゆる単行本の大きさで500p弱、少しばかり歯ごたえのある書物である。この種文明論的なものは、もう20年ほど前に出会った、ポール・ケネディの「大国の興亡」、ポール・ジョンソンの「現代史」以来になるだろうか。

1993年の雑誌発表から日本語訳本発表の1998年まで、
 おおむね冷戦終結とソ連邦の崩壊から湾岸戦争直後の視点で世界を概観、今後の世界史の動向は文明間の軋轢抗争が主軸として展開して行くだろうとの論である。重複する部分の多いのに若干閉口した以外、氏の世界史全般における浩瀚な知識を元に展開する文明論には、少なからず啓蒙された。

論調は、
 いわゆる8~10世紀のフランク王国のローマ帝国継承と、分裂を経ての西欧=ヨーロッパ成立から説き起こす。そして、ルネッサンス・大航海時代・産業革命と西欧文明の発展と東漸が、ビザンチン、オスマントルコ、イスラムから東洋、新世界に至るまでの出会いの結果の軋轢となる。それが20世紀末の今日、西欧から日本まで主として八つの文明の断層線(フォルト・ライン)の戦いだと喝破している。

それは、
 東西冷戦時代のようなイデオロギー戦争と違い、アイデンティティの戦いであり、ワンオブゼン妥協のない世界だという。特に西欧、イスラム、ギリシャ正教スラブ、中国が4大アイデンティティ間のフォルト・ライン戦争は熾烈を極め外部機構や、大国の斡旋による一時的な妥協はあってもフォルト・ラインそのものが無くならない限り、必ず再燃、人類の宿痾となるだろうと警告する。

その種紛争の典型例として、
 旧ユーゴスラヴィアを巡るクロアチア・セルビア・ボスニアの対応するそれぞれ西欧・スラブ・イスラムの三竦みの文明の激突を紐解いてみせる。この地が、大部分の日本人読者の知識の空白地帯であるだけに、まさに圧巻!ヨーロッパ史バルカン史の歴史絵巻である。

ドイツを中心として、
 西欧がNATOを持ち出してクロアチアを支援、ロシアがロシア・東方正教会の盟主としてセルビアに介入、ボスニアにはインドネシアからアフリカ西岸までのイスラム総連合が義勇兵まで派遣して文字通りの参戦。しかも、最大の人的犠牲を出したボスニアは、その犠牲を逆手にとり、アメリカをして、イラクに取った態度とは裏返しとも言えるセルビアへの米軍の空爆を引き出し、犠牲に見合うとは云わないまでも、世界にその存在の認知を、自らの民族の血と代償で、したたかに購って見せたのである。

18年前、
 紛争が表面化する直前女房と、銀婚旅行記念に車で彼の地を巡った・・・旅行後1年前後でユーゴスラヴィアという国家は消滅・・・記憶のある身としては、想い出の地をこれほどまでに分析、解説してくれる書に遭遇、感慨、一塩以上である。

ひるがえって当時、
 これだけのセルビア・モンテネグロ情勢の分析をし得た日本のメディア皆無、せいぜいのところ、明石某や、緒方なにがしのNPOがどうの、人道支援がどうのと、現地の経緯や実情と乖離した太平楽なコメントを流していたに過ぎない。

通信手段の発達した今日、
 紛争当事国は世界の同文明に呼び掛けることが、以前よりはるかに迅速になり、多くのアイデンティティを共有する民族同胞から支援を取り付けることが出来るようになり、紛争は長期化徹底化するようになる。同時に当事国だけでは調停も終結も受け入れられず、周辺有力国、最終的にはそれぞれの文明圏の有力中核国・・・アメリカ、ロシア、中国、インドと言った国であろうか!?・・・の登場を仰ぐこととなる。

このような火種を抱えた、文明の断層線(フォルト・ライン)は、
書の公刊時点でさえ、アイルランドにウクライナ、チェンチェン、グルジア、中央アジア・アフガニスタン、極東etcとすでに相当数、その後「9,11同時多発テロ」以来、ますます拡散複雑化している。

そして、
 エジプト、イラン、パキスタン、サウジアラビア程度と云った、有力ではあるが中核になる大国を持たないイスラムは、その内外を問わずフォルト・ライン上の各地で、より一層利害が錯綜、その解決は複雑且つ長期化する。

氏が何故か触れていない、パレスチナ問題などまさにその極致であろう。

ほかにも、
 1995年前後、 日本がバブル崩壊と戦後初の非自民細川政権の誕生、阪神淡路大地震、オーム真理教による地下鉄サリン事件等々、内憂に呻吟していた頃、今日の中国の隆盛を予測、インドのポテンシャルをも見抜いていたのは見識は慧眼と言える。

いずれにしても、
 世界史を大局から鷲掴みするような文明論に出会い、読後感は爽快である。
明日間にあわ~な iHasta man~ana!
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by HONDURAS1 | 2009-02-01 09:57 | 読書